2016年6月4日土曜日

覚えていますか ポリ茶瓶

皆さまは、覚えていますか?

ポリ茶瓶 。

昔は、 旅行に行くと必ず駅弁とデザートの
冷凍みかんを買った記憶があります。

駅弁にお茶は付き物。駅売り弁当の歴史は、そのまま駅売り緑茶の歴史でもあります。その販売は長らく、汽車土瓶入り緑茶の立売という形態でしたが、駅弁立 売と同様の理由で立売が、ポリ茶瓶の登場で汽車土瓶が駆逐され、それとて後の缶入り緑茶やペットボトル入り緑茶の登場で、最近はほとんど見ることがなくな りました。

だが、現在でも購入できるところがあります。


お茶をポリ茶瓶で販売する駅

 日本国内でポリ茶瓶に入れたお茶が販売されている駅は、多くはありませんが、少なくもないようです。当館では下記のとおり、2014年 11月現在で10駅を確認しています。大都市圏を除き、駅弁屋の直営売店が残る駅では、だいたい現存しているようですので、その数はもっと多いのではと思 います。 


ポリ茶瓶(札幌)




  •  北海道・函館本線札幌駅 ※2007年6月収穫
     ホーム上と改札内コンコースの駅弁売店のいくつかに、電気ポットとポリ容器が備え付けられており、注文すれば容器にお湯を注いで茶葉を付けて100円で売ってくれます。2014年9月時点でも健在でした。

  • 北海道・根室本線釧路駅 ※2014年9月現在
     1番ホームの駅弁売店で、ポリ容器入りのお茶を販売するようです。なお、この売店は特急「スーパーおおぞら」上り列車の発車前のみの営業です。
    ポリ茶瓶(釧路)



  • 北海道・函館本線旭川駅 ※2014年9月現在
     改札外コンコースの駅弁売店で、ポリ容器のお茶が110円で販売されています。お湯を注いだ状態でも、空き容器の状態でも、販売してくれます。


  • ポリ茶瓶(旭川)




  • 秋田県・奥羽本線大館駅前
     駅前の駅弁屋の弁当売店で販売されているようです。2012年時点での販売情報もあります。駅構内での駅弁販売は、駅舎内のコンビニだけですので、そこでは買えないものと思われます。
    ポリ茶瓶(横川)
  • 群馬県・信越本線横川駅前 ※2013年8月収穫
     駅前の駅弁屋の食堂で、もみ出しタイプのポリ茶瓶で販売されています。食事でもテイクアウトでも、お湯入りでもお湯なしでも、100円で販売していました。
  • 馬県・わたらせ渓谷鉄道神戸(ごうど)駅 ※2014年10月現在
     当館の談話室(掲示板)への投稿内容によると、神戸駅で駅弁を調製する「レストラン清流」で販売されているようです。
  • 千葉県・いすみ鉄道大原駅 ※2014年11月収穫
     2011年9月の大原駅での駅弁の販売開始に合わせて、ポリ容器でのお茶の販売も始めたようです。2014年11月時点で一個120円。容器を買い、セルフサービスで電気ポットからお湯を注ぐ方法で売られます。駅弁を買えば、ひとつに1個が付いてきます。

    ポリ茶瓶(伊東)
  • 静岡県・伊東線伊東駅 ※2013年7月収穫
     駅舎内で改札外と1番ホームの両方に面した駅弁売店で、伊東名物「ぐり茶」をポリ茶瓶で売ってくれます。130円。注文時にポリ茶瓶へティーバッグを入れ、電気ポットのお湯を注いでいました。2014年秋の時点でも健在です。

    ポリ茶瓶(亀山)
  • 三重県・紀勢本線亀山駅前 ※2003年12月収穫
     かつて公式の駅弁屋であり、現在も当時の名物駅弁「名物志ぐれ茶漬」を販売している駅前商店で、100円で販売されています。2014年秋の時点でも健在でした。





    ポリ茶瓶(津和野)
  • 島根県・山口線津和野駅 ※2014年11月収穫
     駅舎内で駅弁を売る立ちそば屋で、調製シール付きポリ茶瓶のほうじ茶が、常温・加温とも100円で販売されています。

    コラム・汽車土瓶やポリ茶瓶がなくなる理由、残る理由

     汽車土瓶がポリ茶瓶に置き換えられ、さらに缶入り茶にシェアを奪われ、そしてペットボトル茶(ポリエチレンテレフタレート樹脂製容器に入ったお茶)に代わられようとしている理由は、その登場順に追っていくことで考えられそうです。

     まずは汽車土瓶。明治時代から昭和30年代頃までは、機能面や価格面において、旅先で使い捨てられる飲料容器として唯一の存在であった のではと思います。しかし重く割れやすい性質は、おそらく当時でも取り扱いにくかったはず。軽くて割れず、しかも清潔感があり安価なポリ茶瓶の登場で、こ れに駆逐されてしまったのは自明のことだと思います。

     しかし、ここで問題になったのはお茶の味。容器のビニール臭さ、中身の冷めやすさ、多くの商品での添付のティーバッグや茶葉の品質や風 味の悪さ、そして容器が軽くて軟らかいがゆえの取り扱いの不便さが災いし、この容器が主力であった時期でも、その評判は必ずしも良くはなかったと感じてい ます。

     一方で缶入り茶は技術的に商品化が困難だったのか、またはお茶を入れずに買う習慣がなかったためか、缶ジュースや缶コーヒーが普及した 後でも、その商品化がウーロン茶で1981年まで、緑茶で1985年までかかりました。ポリ茶瓶を置き換えていく力も小さく、容量の増加で割高感が消え、 飲料の健康志向や無糖ブームで大手メーカーの商品開発が盛んになって初めて、やっとポリ容器茶を駆逐し始めたもの。

     これらをまとめて駆逐したのがペットボトル茶です。強度があるのに軽くて安く、飲みかけを簡単に一時保存できるメリットに加え、飲料業 界が廃棄物発生の抑制を主目的に容量1リットル未満の商品を出さないとしてきた自主規制を1996年に解除したことで、まずは冷茶の市場ができました。 1999年の商品化成功により温茶も普及したことで、駅構内を含めて外出先で買えるお茶のほとんどが、このタイプに置き換えられました。

     しかし、汽車土瓶も旅情と郷愁あるいは客寄せ効果が、ポリ茶瓶も安価軽量なことが、缶茶も少容量や自動販売が可能なことが支持され、今 でも根強く残っています。今後も当分はペットボトル茶の天下が続くと思いますが、それぞれ一定の需要が残り続けていくことでしょう。あるいは環境意識の高 まり、資源価格の相場、規制の変更や強化などの要因により、それぞれのシェアが変動するケースも考えられそうです。新たな販売形態の登場や復活も考えられ ます。

     駅弁が健在で、駅弁や鉄道移動に対する飲料としてのお茶の需要が健在である限り、様々な形で駅弁売店や駅構内でお茶が売られ続けると思います。



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