2016年9月30日金曜日

プロの料理人が駄菓子を調理する 1

たまに駄菓子を買う。子供の頃から変わらない味で、100円あれば何種類も買うことができる。おいしい。

そんな駄菓子をむさぼりながら思った。何十年ものあいだ10円や20円で売られ、一瞬で子供や大人の胃袋に収められ続けている彼らに敬意を表すため、一品一品の可能性をもっと引き出して、じっくり味わってあげられないだろうか。

そこで、プロの料理人に駄菓子を調理してもらった。 

たまに駄菓子を買う。子供の頃から変わらない味で、100円あれば何種類も買うことができる。おいしい。

またもや義弟頼み

 

調理をお願いしたいのは、いつも料理で困ったときに頼りにしている、萩原雅紀の義弟でイタリアンバルのシェフを務めている早川くん。

 今回もお休みのところすいません(キッチンは萩原雅紀の実家です)

数年おきに謎の料理を頼んでくる義兄が愛想を尽かされないか心配しつつ、数日前に試食用の駄菓子を詰めた箱を送っておいたところ、いろいろ考えてくれたらしい。

でも仕事が忙しく、実際に作るのは当日が初めて、と言っていた。「頭の中にあるのでたぶん大丈夫だと思います」というプロの言葉を信じて、調理をお願いした。

メインの駄菓子紹介

今回は僕が選んだ5品を使って、それぞれ1皿ずつ作ってくれるという。というわけで、選ばれし5品の駄菓子を紹介しよう。

 

キングオブ駄菓子、うまい棒。応用範囲の広そうなチーズ味 

うまい棒が与党とすれば野党第1党はよっちゃんではないだろうか

子供のころ、僕の推しは第3の勢力ビッグカツだった

 
安定の支持基盤があるベビースター

 遠足のおやつで毎回最後に追加してしまうミニコーラ

さらに「食材」としてシェフ自ら選び追加されたお菓子たち

 

どうだろう。それぞれ思い入れもあるので「蒲焼さん太郎はどうした!」とかモニタの前で叫んでしまう方もいると思うけれど、キリがないので今回はこれで進めたい。

では調理の様子と試食に続きます。

 

うまい棒が驚きの一品に

まず一品目の様子を見ると、まな板の上にうまい棒が載せられていた。日常にありふれているけど本来あまり接触のない者同士の邂逅。同じコンビニのバイトだけど昼勤と夜勤なので飲み会で初めて会った、みたいな感じだろうか。
 まな板の上のうまい棒、そして奥に煮えたぎる鍋が

 コンロの上では鍋が2つ火にかけられていた。砕いて細かくされたうまい棒が、そのうちのひとつ、牛乳の入った鍋の中に躊躇なく投入された。

 しかし入れてみるとなんか既視感が…

うまい棒を牛乳に!?と驚いたけど、鍋に投入されたそのルックスは粉末のポタージュスープのよう。少し温めてうまい棒を溶かし、塩で味を整えてから濾し器にかけられた「うまい棒スープ」は、その後冷蔵庫で冷やされたあと皿に盛りつけられた。

正直、うまい棒を溶かす、というのは予想していなかった。確かに濃い目の味はスープの素に近い気もする。しかしあのうまい棒だよな…と混乱しつつスプーンで口に運ぶ。

…何の違和感もない。これはふつうにポタージュスープだ。というか、バランスが良くかなり濃厚でおいしい。こんなに簡単に、しかも材料は10円のうまい棒と牛乳だけで立派なポタージュが作れるとは。

早川シェフによると、ふつうのポタージュはバターや生クリームでとろみを出すけれど、うまい棒を粉にすればそのままとろみが出るかな、と思ったとのこと。

これ、簡単なので自分でもやってみよう。メンタイ味とかどうだろう(そして後悔するパターン)。

うまい棒のスープに感動しているころ、キッチンでは赤いものが包丁で細かく切られていた。

よっちゃんが良いアクセント!

続いてキッチンを覗くと、まな板の上で野菜が切られていた。アスパラガスと、赤いのは人参?
「よっちゃんです」
と言われて笑った。よっちゃん、まな板の上だと見た目は完全に食材である。

調理風景として違和感ない写真だけど奥に不適切なものが 

 コンロの上にはオリーブオイルがしかれたフライパンが温められ、そこにホタテが投入された。塩こしょうで薄く焦げ目がつくくらいホタテを炒めて取り出し、フライパンに残った油の中に、紅しょうがのように細かく切られたよっちゃんが投入された。

にんじんを炒めているようにしか見えない

油でじっくり炒められるよっちゃん。こういう「一生で一度見るかどうか」という光景が繰り広げられると思わず生きててよかった、と大げさに感動してしまう。

やがて平皿の上にホタテが並べられ、その上に炒めたよっちゃんとソースがかけられた。ソースはフライパンに残ったオリーブオイルとホタテの焦げ、よっちゃんにワインを絡めたものらしい。
 

 ホタテのソテーよっちゃんソース

なんだこれ!ホタテとよっちゃんの相性が文句ない!一緒に食べるとよっちゃんと気づかないくらい自然。酸味や味の深さがバルサミコ酢っぽい、というかこれバルサミコ酢だ!

目で見たものと口の中に広がる味が、いままでの自分の経験で得たビッグデータと照合できない。よっちゃんの袋には三杯酢と書かれているのが混乱に拍車をかける。

これはなかなか衝撃だった。確かにホタテもよっちゃんも海の幸だけどここまでまとまるとは。よっちゃん、食材として完全にアリである。 

 こっそり取り入れているレストランあるんじゃないか

 

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